◇「住民参加型道直し」に参加して1ヶ月が過ぎた経過報告です。直径30cmもある工事現場の向日葵の花も実をつけ、その重みで向日葵の花は首をたれて太陽を向けません。夏日も終わりです。
◇9月に入って既に4日目ですが、今日も相変わらず暑い一日で、炎天下での「道直し」事業は「土方仕事」で、キツイ一日ですが、それでも雨続きの先週に比べれば有難い今日です。今週は月曜日から晴天が2日続き、仕事はすこぶる順調に進みました。今日は高さ3m15cmある路岸壁の基礎の半分のコンクリート打設が終わり、2日間のコンクリート養生待ちに入りました。明日雨が降っても型枠をはずすまでは安心です。土方仕事はお天気だけが心配です。
◇暑いとは言っても、それでも昨日に比べれば暑さは半分です。此処は、これ以上山奥には村落がないといわれる山奥の突端の集落「極野(にての)」です。「極野」に入りますと主要道路でも1車線ですが、道路は総てアスファルト舗装されております。その路上には蝉(せみ)の亡骸が転がっているのを時々目にします。蝉の亡骸は東京の方が多いように思いました。少し秋風を感じるこの数日は、舗装道路に転がっている大型のトンボの亡骸も目にします。
◇仕事の終わった夕刻、あまり広くない家の前庭で花壇の草花の枯れ枝から、実と枯葉を指でしごいて剥ぎ取っている年配の女性に「枯れ草で何を作るのですか?」と声をかけると、「箒を作ってます。」と声が返ってきました。「家の中を掃く箒には向きませんが、庭を掃く箒に丁度良い箒になります」との事でした。一しきり箒の話の後、「此処は雪さえ降らなければ好い所なんですが、例年雪が多くて、もう冬ごもりの支度です。」と弱音が聞こえてきました。此処では、暑い暑いと言っても僅か1ヶ月あまりの暑さです。「雪の日が長くてね・・・・・」と、この辺では何処に行っても耳にする言葉です。
◇このメールも投宿している新潟県津南町上郷にはテレホンカードの使える公衆電話がなく、100円玉を入れてメールを送ります。勿論旅館には自家用の電話とFaxがありますが、ターミナルを外してお借りする勇気が出ません。アマゾンや、アフリカのホテルでは夜間、電話のターミナルから電話線を外してメール交信をしましたが、ここ日本では、旅館の営業妨害になるといけないので、車で出かけて数少ない公衆電話からメールの交信をしております。
「IT,IT」と草木もなびく時代もあり、巷間、「IT技術を活用した経営戦略」等と耳にしたり目にしたりしますが、あまりにも日本の現場を無視したお話ではないかと、密かにその様な風潮に眉をしかめている次第です。私が良く雑草退治行く、東京から車で1時間15分の距離にある千葉県館山市でさ、光ファイバーが使えなく、ブロードバンド環境はありません。開発教育だけでなくこれらのIT技術の普及も同じで、「現場と足元を見る」重要性を身近な「日本の現場」からの例としてお届けする次第です。
◇相変わらず協働道直しの現場に張り付いています。今日から元職員だった、道直しのS.F。さん(3年前に定年退職され、現工事が雨のために遅れているので雪の来る前までに予定通り進める必要から助っ人として参加)が参加され一段と道直しの、擁壁の石積みにスピードがつきました。斉藤S.F.さんの仕事の手先と姿勢と対応を見ておりますと、現場職人のお手本を見る思いがいたします。土方仕事は、普通誰も振り向かな日本の社会ですが、骨惜しみせず、明日の作業手順さえも念頭において、一服しながら段取りを組んでいる此処の所謂「土方」作業臨時職員を見ていると、マザーテレサを労働者にした様な感じさえ受けます。年齢は私と大差ないと思いますが、姿勢も良く、足腰もシッカリしておられ、私も再度鍛え直す必要性を感じた次第です。明日からの仕事の勉強が尚一層楽しくなりました。
◇道直しを進めている「極野(にての)」の住民の方から「村長が来てるよ。村長は私より一才年上なんですよ。」と教えられ、高橋彦芳村長が現場に来られているのを知りました。暫くすると、既に工事の為に半分破壊した、私でも用心して上り下りしている急な階段を村長が下りてこられました。私と同じNikonの一眼レフを肩から下げておられましたので「折角現場に来られてますので、現場をバックに写真をお取りしましょうか?」と村長に声をかけ、村長のNikonで2枚ほどシャッターを押しました。
◇現場で村長から栄村が進めておられる「道直し・田直し・老人医療」活動についてご説明をいただきました。「コムスンが此処に来るわけないし・・・、自分達で老人介護を進める以外住民が安心できる介護は出来ないですよ」との事でした。20年に亘り、村の職員時代(助役)から色々考えておられた事を村長になられてから実行されて来た様子を垣間見た次第です。中小企業の社長と言った感じです。
◇当方からは、弊NPO法人は栄村に良く似た仏の国のブータンへ技術支援を行ってきているが、その一環として、栄村の住民との「協働道普請」の実態が財政の十分ないブータン政府には極めて役に立つと思われるので、その手法を紹介するために勉強に来ている旨、ご説明いたしました。