設立趣旨書

1.趣旨

 日本の本格的な建設機械技術の発展は、第二次世界大戦で疲弊した国土の復興と、其の後の高度成長を支える基幹道路・新幹線鉄道建設と、水・電力資源確保のダム・河川建設を始めとする、極めて旺盛な大型土木建設事業と社会基盤整備に対する需要に応えるために極めて高いレベルに達した。又高い生産性と急速な市場拡大に応えるには建設機械の性能拡大や、施工技術の発展に負うばかりでなく、建設機械を効率的に使用する運営管理や保守整備・再生技術の著しい発達に負うものがあった。それらの発展は、技術に対する社会的な高い要求が有っただけでなく、遭遇するあらゆる問題を解決し身近な技術を至宝の域まで高めた真面目で研究熱心な現場の技能者の努力により、安全性、環境、景観等にも配慮が必要な今日の高度で多用な技術の要求にも対応してきた。

これら機械の製造と応用、及び管理の両面の技術は、国内はもとより開発途上国においても今後益々必要であり、社会の求めに応じて広く還元しなければならない。

しかし今日ではこれらの高度な建設機械に関する技術を次世代に継承して行くことが難しくなってきている。

1986年米国のニューヨーク、プラザホテルで開催された5ヶ国蔵相会議の「プラザ合意」以後、円・ドル相場の大幅変動によって、建設機械の生産工場は米国・欧州・アジアに分散され、それに関わる技術者も分散され、相対的に人材の再生産も大幅に縮小した。又経済状況の大きな変化に伴い建設機械を取り巻く市場は縮小し、市況が深刻化して久しい今日では、多彩な熟練技術者を社内に確保することさえ難しい。又若年層への技術移転の機会も益々少なくなって来ている。

社会基盤の成熟によって、建設機械技術を次世代に伝承する事業が少なくなったばかりでなく、学校教育の場で「物理・数学・技術」を身近に感じる技術教育環境の低下傾向も見逃せなくなって来ている。多大な時間と経験を重ねて高度な技術を身に付けた多くの技術者は定年を迎え、後継者を育成することもなく、第一線を退いて行かざるを得ない状況にある。これらの鍛え上げられた技術は「マニュアル」で伝承出来るものではなく、人からひとへ直接伝承されるものである。時代はマニュアル化の傾向にあるが、経験によって培われた生き身の技術は残念ながら書物を通して伝えるのは極めて難しい。既にそれらの弊害はあちこちに現れており、これ以上問題を深刻化させないために有効な手立てが求められている。しかし経済の縮小傾向から中々実効のある手が打たれていない。

この様な社会環境に鑑みて、建設機械に関わる多くの分野で培われてきた高度の技能や技術を国内外の要請に応じて活用する機会創出は極めて有効である。又社会開発に不可欠な高度な技術と高い職業人としての倫理観を有する、退職者を含めた中高年技術者が相互に協力し、建設機械を取り巻く内外の幅広い分野で各種の支援活動を行うことは日本の経済活性化は勿論、開発途上国の平和と繁栄を築く為にも極めて有用である。

よって建設機械の技術発展に関わってきた我々は、ここに「国際建設機械専門家協議会」を設立し、社会発展に寄与出来る高度な技術を持った意欲的な専門家を募り、非営利団体として、建設機械関連の技術支援を通して日本は勿論、海外諸国、とりわけ開発途上国の社会に貢献しようと志する者である。

本会は、高度な技術と豊富な経験を有する会員相互の協力により、高い技術を持った中高年技術者の再活用を図り、日本国内外の建設機械技術を主にした幅広い技術分野で、調査研究および技術指導を通して普及活動を行うとともに、不特定多数の市民・学校・団体等を対象に助言又は支援・協力を行い、技術水準の高揚、建設機械に関わるハード面、ソフト面双方の品質向上、次世代人材の育成を推進し、もって、社会教育、健全な技術教育の環境整備、環境の保全、地域安全、国際協力等の公益の増進に寄与することを目的とする。

それに加えて、本会は公正中立で高度な技術者集団の第三者機関の一つとして、建設機械関連のプロジェクトや機械設備、或いは人的資源の性能・能力評価や審査についての業務にも貢献し、寄与出来るよう検討するものとする。

 

2.申請に至るまでの経過

◇平成11年10月26日に「設立趣意書」と「定款草稿」を事務局担当の白井 一が作成し、発起呼びかけ人代表者となる堀江鉄夫、池永順次に送付し、設立の趣意を明確にして設立の準備を開始した。

◇平成11年11月11日17時30分より「発起人会呼びかけ代表者会議」を堀江鉄夫、池永順次、白井 一の3名が出席して小田原で開催した。設立の趣旨、定款、会費及び事業計画、予算、役員の案を検討すると共に、設立会員を募り「設立総会」開催を決定した。

◇平成12年6月28日19時よりJR東京駅八重洲倶楽部会議室にて「設立総会」を開き、発起人呼びかけ代表者より設立の趣旨、定款、会費及び財産、事業計画、収支予算、役員の案を提案し、審議の上決定した。又「国際建設機械専門家協議会」

と会の名称を定め、特定非営利活動法人として設立登記して活動することを決議した。

◇平成12年8月9日19時よりJR東京駅八重洲倶楽部会議室にて「特定非営利活動法人国際建設機械専門家協議会」設立総会を開催した。発起人より設立の趣旨、定款、会費及び財産、平成12年度及び平成13年度の事業計画、収支予算、役員についての議案を提起し、審議の上決定した。

平成12年8月14日

特定非営利活動法人 国際建設機械専門家協議会

設立代表者 東京都  嶋田英輔

                東京都  白井一

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